建設業許可の要件⑤

(5)欠格要件等に該当しないこと

建設業法8条に該当する場合には、建設業許可を受ける事ができません。

(1)許可申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているとき

(2)建設業法第8条各号のいずれかに該当する場合

法人:その法人・法人の役員等・令第 3 条に規定する使用人

個人:その本人・支配人・令第 3 条に規定する使用人

これらの者が、下記に該当している場合

① 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
② 一般建設業の許可又は特定建設業の許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者
③ 一般建設業の許可又は特定建設業の許可の取消しの処分に係る聴聞通知を受け取った後、廃業の届出をした場合に届出から5年を経過しないもの
④ 聴聞通知を受け取った日から取消処分がされた日(取消処分をしないことの決定がされた日)までの間に廃業の届出をした場合、聴聞通知を受け取った日から遡って60日前までの間に当該廃業届出をした法人の役員等若しくは政令使用人であった者(個人事業主の政令使用人を含む。)で、廃業届出の日から5年を経過しないもの
⑤ 建設業法第28条第3項又は第5項の規定により営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
⑥ 建設業法第29条の4の規定により営業を禁止され、その禁止の期間が経過しない者
⑦ 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
⑧ 建設業法法等に違反したこと又は刑法の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
⑨ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
⑩ 心身の故障により建設業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの
⑪ 未成年者の法定代理人が建設業法第8条各号のいずれかに該当するもの
⑫ 法人の役員等又は政令で定める使用人のうちに、建設業法第8条第1号から第4号まで又は第6号から第10号までのいずれかに該当する者のあるもの
⑬ 個人で政令で定める使用人のうちに、建設業法第8条第1号から第4号まで又は第6号から第10号までのいずれかに該当する者のあるもの
⑭ 暴力団員等がその事業活動を支配する者
(引用:東京都建設業許可手引き)

建設業許可の要件④

(4) 請負契約を履行するに足る財産的基礎又は金銭的信用を有すること

建設業を営むには、
・資材の購入
・労働者の確保
・機材の購入
・工事着工の準備資金等

を必要とするため、財産的基礎(金銭的信用)を有していることが要件とされています。

一般建設業、特定建設業に分けてみてみましょう。

一般建設業の財産的基礎

次のいずれかに該当すること。
① 自己資本が500万円以上あること。
② 500万円以上の資金調達能力があること。
③ 直前 5 年間許可を受けて継続して営業した実績のあること(更新申請や許可を受けて5 年以上経過した後の業種追加申請の場合に該当)。

特定建設業の財産的基礎

次の全ての要件に該当すること。
① 欠損の額が資本金の20%を超えていないこと。
② 流動比率が75%以上であること。
③ 資本金が2,000万円以上あること。
④ 自己資本が4,000万円以上あること。

*欠損の額とは

法人:貸借対照表の繰越利益剰余金が負である場合にその額が資本剰余金、利益準備金及び任意積立金の合計額を上回る額
(繰越利益剰余金 -(資本剰余金+利益準備金+その他利益剰余金(繰越利益剰余金を除く)))÷資本金×100≦20%

個人:事業主損失が事業主借勘定から事業主貸勘定の額を控除した額に負債の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金の額を加えた額
(事業主損失(事業主借勘定-事業主貸勘定+利益留保性の引当金+準備金))÷期首資本金×100≦20%

≪例≫
・資本金=30,000千円
・繰越利益剰余金=△25,000千円
・資本剰余金=2,000千円
・利益準備金=6,000千円
・任意積立金=10,000千円
(25,000千円-(2,000千円+6,000千円+10,000円))÷ 30,000千円
= (25,000千円-18,000千円 )÷ 30,000千円
=7,000千円 ÷ 30,000千円 = 23.3 %  ⇐ 20%を超えている

*自己資本とは

法人:貸借対照表の「純資産合計」の額

個人:期首資本金、事業主借勘定及び事業主利益の合計額から事業主貸勘定の額を控除した額に負債の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金の額を加えた額

*財産的基礎要件確認のタイミング

財産的基礎等の要件の確認については、許可申請のタイミングで必要となるので、常にこの要件を備えて置かなければいけないわけではありません。
決算変更届(事業報告)は毎年提出するものですが、決算ごとに備えておく必要もありません。
翌事業年度に新規申請・更新申請・業種追加申請等を行う場合に当該事業年度の決算で備えておく必要があります。

建設業許可の要件③

(3) 請負契約に関して誠実性を有していること

建設業法7条第3項に下記のような規定があります。

三 法人である場合においては当該法人又はその役員等若しくは政令で定める使用人が、個人である場合においてはその者又は政令で定める使用人が、請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと。

法人の場合

・当該法人
・その役員等
・政令で定める使用人:支配人及び支店又は常時建設工事の請負契約を締結する事務所の代表者(支配人である者を除く。)。

※役員等とは
業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる者(法人格のある各種の組合等の理事等(執行役員、監査役、会計参与、監事及び事務局長等を除く。))又は相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者をいいます。
「同等以上の支配力を有するものと認められる者」である可能性がある者としては、少なくとも「総株主の議決権の100分の5以上を有する株主」及び「出資の総額の100分の5以上に相当する出資をしている者」(個人である者に限る。)が挙げられます。この他、役職のいかんを問わず、取締役と同等以上の支配力を有する者についても同様です。
(引用:東京都建設業許可手引き

個人の場合

・個人その者
・政令で定める使用人:支配人及び支店又は常時建設工事の請負契約を締結する事務所の代表者(支配人である者を除く。)。

「不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者」

具体的には下記のような行為をさすようです。(参考:東京都建設業許可手引き

・不正な行為:請負契約の締結又は履行の際の詐欺、脅迫等、法律に違反する行為

・不誠実な行為:工事内容、工期等、請負契約に違反する行為

建設業許可の要件②

(2) 「専任技術者」を営業所ごとに置いていること

営業所ごとに許可を得ようとする建設業(業種)の専任技術者を専任で置かなければいけないという規定があります。

「専任技術者」とは

「専任技術者」とは、
・営業所に常勤
・もっぱら請負契約の適切な締結やその履行の確保のための業務に従事
・「専技」としての資格を有することを証明

した者をいいます。(参考:千葉県ホームページ建設業手引き)

「専任技術者」になれる人

「専任技術者」になれる人は一般建設業と特定建設業で違ってきます。

一般建設業の許可を受ける場合

次のいずれかに該当することを証明する。
①学歴+実務経験を有する者(法第七条第二号イ該当)
②実務経験を有する者(法第七条第二号ロ該当)
③資格を有する者(法第七条第二号ハ該当)

①学歴+実務経験を有する者(法第七条第二号イ該当)について

〇学歴:指定学科を修了した者
(右記または、こちら )

引用:千葉県ホームページ建設業手引き

〇実務経験: 高卒=5年以上
       大卒=3年以上

②実務経験を有する者(法第七条第二号ロ該当)

許可を受けようとする建設業に関する実務経験を10年以上有する者(学歴・資格を問わない)

③資格を有する者(法第七条第二号ハ該当)

国土交通大臣が①又は②に掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有するものと認定した者
例)千葉県の手引きでは、下記となっております。
  ・資格区分に該当する者( こちら のP118,P119)
  ・その他、国土交通大臣が個別の申請に基づき認めた者

特定建設業の許可を受ける場合

次のいずれかに該当すること。
資格を有する者(法第十五条第二号イ該当)
②指導監督的実務経験を有する者(法第十五条第二号ロ該当)
国土交通大臣の認定を受けた者(法第十五条第二号ハ該当)

*「指定建設業」においては、①又は③に該当する必要がある。

資格を有する者(法第十五条第二号イ該当)について

技術検定等の決められた国家資格を有する者 営業所専任技術者となりうる国家資格者等一覧へ
(引用:国土交通省ホームページ)

②指導監督的実務経験を有する者(法第十五条第二号ロ該当)

一般建設業の専任技術者になれる者に該当し、
・2年以上指導監督的な実務経験を有する者(許可を受けようとする建設業に係る建設工事で発注者から直接請け負いその請負代金の額が4,500万以上であるものについての実務経験)

国土交通大臣の認定を受けた者(法第十五条第二号ハ該当)

国土交通大臣が、イ又はロに掲げる者と同等以上の能力を有すると認めた者(大臣認定者)

*「指定建設業」とは

政令で定められた建設業で下記のものをいう
 土木工事業
 建築工事業
 電気工事業
 管工事業
 鋼構造物工事業
 舗装工事業
 造園工事業


まとめ

専任技術者は上記のように一般建設業と特定建設業で要件が異なりますが、これらに該当する者を営業所ごとに許可を得ようとする建設業(業種)の専任技術者を専任で置かなければいけません。

建設業許可の要件①

「建設業に係わる経営業務の管理を適正に行うに足る能力を有すること」

建設業許可の要件の一つ目です。

簡単に言うと、

1「常勤役員等(経営業務の管理責任者等)」又は「常勤役員等+補佐人」がいること

2 健康保険、厚生年金、雇用保険に適切に加入していること

が必要になります。

「常勤役員等(経営業務の管理責任者等)」又は「常勤役員等+補佐人」がいること

常勤役員等とは

まず、常勤役員等とはなんでしょうか?

法人の場合:役員のうち常勤のもの

合同会社の業務執行社員、合資会社若しくは合名会社の無限責任社員、株式会社の取締役、委員会設置会社の執行役又は法人格のある各種の組合等の理事、これらに準ずる者等をいう。(監査役、会計参与、監事及び事務局長等は含まれない。)取締役会設置会社において取締役会から具体的な権限委譲を受けた執行役員等も含まれます。

個人事業の場合:本人又はその支配人

なお、役員等とは、
業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる者又は相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者をいう。(建設業法第5条)
と規定されております。

「その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、
執行役若しくはこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有する者と認められる者
」である可能性
がある者の例として、「総株主の議決権の 100 分の 5 以上を有する株主」及び「出資の総額の 100分の 5 以上に相当する出資をしている者」(個人である者に限る)があげられますが、これら以外であっても法人に対して実質的に支配力を有している者は含まれます。
(引用:千葉県建設業許可手引き)

補佐人とは

常勤役員等を直接に補佐する者

常勤役員等、補佐人に求められる要件

建設業許可に必要な要件として、
常勤役員等(経営業務の管理責任者等)」又は「常勤役員等+補佐人」がいること
について、これまで常勤役員等や補佐人について記載してきました。それでは具体的にこれらの人に求められている要件を見てみましょう。

常勤役員等になれる者

営業取引上対外的に責任を有する地位において、経営業務について総合的に管理した経験(経管としての経験)を一定期間以上有する者

補佐人になれる者

補佐人となれる者は、補佐人になろうとする建設業を営む者における「財務管理」「労務管理」「業務運営」の業務経験を一定期間以上有する者

常勤役員等(経営業務の管理責任者等)の要件

イ 常勤役員等(※)のうち1人が次のいずれかに該当する者であること
(1)建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
(2)建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者
  (経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)
(3)建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の
   管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者

経営業務の管理責任者とは

業務を執行する社員、取締役、執行役若しくは法人格のある各種の組合等の理事等、個人の事業主又は支配人その他支店長、営業所長等営業取引上対外的に責任を有する地位にあって、経営業務の執行等建設業の経営業務について総合的に管理した経験をいう。

常勤役員等+補佐人の要件

ロ 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であつて、かつ、財務管理の業務経験(許可を受けている建設業者にあつては当該建設業者、許可を受けようとする建設業を営む者にあつては当該建設業を営む者における五年以上の建設業の業務経験に限る。以下このロにおいて同じ。)を有する者、労務管理の業務経験を有する者及び業務運営の業務経験を有する者を当該常勤役員等を直接に補佐する者としてそれぞれ置くものであること。
(1) 建設業に関し、二年以上役員等としての経験を有し、かつ、五年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有する者
(2) 五年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、二年以上役員等としての経験を有する者

注意点

〇他社の代表取締役等は、「常勤役員等」にはなることができません。(常勤と認められない可能性があるため)

〇「常勤役員等」は建設業の他社の技術者にはなることができません。

〇国会議員及び地方公共団体の議員は、「常勤役員等」にはなることができません。

〇執行役員は「法人の役員」にはあたらないものの、「常勤役員等に準ずる地位」ではあり
得ます。

健康保険、厚生年金、雇用保険に適切に加入していること

これらに加入している事も要件の一つとなりますので、確認しておきましょう。

条文で見てみましょう

建設業法(許可の基準)
第七条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。
一 建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であること。

建設業法施行規則(法第七条第一号の基準)
第七条 法第七条第一号の国土交通省令で定める基準は、次のとおりとする。

一 次のいずれかに該当するものであること。
イ 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であること。
(1) 建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
(2) 建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者
(3) 建設業に関し六年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者
ロ 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であつて、かつ、財務管理の業務経験(許可を受けている建設業者にあつては当該建設業者、許可を受けようとする建設業を営む者にあつては当該建設業を営む者における五年以上の建設業の業務経験に限る。以下このロにおいて同じ。)を有する者、労務管理の業務経験を有する者及び業務運営の業務経験を有する者を当該常勤役員等を直接に補佐する者としてそれぞれ置くものであること。
(1) 建設業に関し、二年以上役員等としての経験を有し、かつ、五年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有する者
(2) 五年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、二年以上役員等としての経験を有する者
ハ 国土交通大臣がイ又はロに掲げるものと同等以上の経営体制を有すると認定したもの。

二 次のいずれにも該当する者であること。
イ 健康保険法(大正十一年法律第七十号)第三条第三項に規定する適用事業所に該当する全ての営業所に関し、健康保険法施行規則(大正十五年内務省令第三十六号)第十九条第一項の規定による届書を提出した者であること。
ロ 厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第六条第一項に規定する適用事業所に該当する全ての営業所に関し、厚生年金保険法施行規則(昭和二十九年厚生省令第三十七号)第十三条第一項の規定による届書を提出した者であること。
ハ 雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第五条第一項に規定する適用事業の事業所に該当する全ての営業所に関し、雇用保険法施行規則(昭和五十年労働省令第三号)第百四十一条第一項の規定による届書を提出した者であること。