特定建設業と一般建設業について

特定と一般

建設業29種類の業種ごとに特定建設業と一般建設業に区分されます。

特定建設業とは

特定建設業: 発注者から直接請け負った1件の工事(元請け業者になる場合)につき、下請代金の額が4,000万円以上(建築工事業は6,000万円)となる下請契約を締結して下請負人に施工させる場合、特定建設業の許可が必要となります。

下記のように建設業法に規定されております。

建設業法(施工体制台帳及び施工体系図の作成等)
第二十四条の八 特定建設業者は発注者から直接建設工事を請け負つた場合において、当該建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額(当該下請契約が二以上あるときは、それらの請負代金の額の総額)が政令で定める金額以上になるときは、建設工事の適正な施工を確保するため、国土交通省令で定めるところにより、当該建設工事について、下請負人の商号又は名称、当該下請負人に係る建設工事の内容及び工期その他の国土交通省令で定める事項を記載した施工体制台帳を作成し、工事現場ごとに備え置かなければならない。

政令で定める金額は、政令で規定されております。

建設業法施行令(法第二十四条の八第一項の金額)
第七条の四 法第二十四条の八第一項の政令で定める金額は、四千万円とする。ただし、特定建設業者が発注者から直接請け負つた建設工事が建築一式工事である場合においては、六千万円とする。

一般建設業とは

上記、特定建設業の許可を必要としない工事のみを施行する場合には、一般建設業の許可となります。

下記のような場合は、一般建設業の許可となります。
・元請け業者にならない場合(下請代金額がいくらでも)
・元請け業者となるが、下請けに出さない場合(全て自社で施行する場合)
・元請け業者となるが、下請代金が4,000万円未満の場合

特定建設業と一般建設業の併用

建設業29業種ごとに区分されるので、各業種ごとに特定建設業を取得するのか一般建設業を取得するのか選択することができます。

ただし、同一業種で特定・一般の両方を取得することはできません。

下記のようなイメージです。
・電気工事で特定・一般を取得はできません。
・電気工事で特定建設業を取得、塗装工事では一般建設業を取得。
・管工事、防水工事で一般建設業を取得、塗装工事で特定建設業を取得。

まとめ

整理すると下記のフロー図のようになると思います。

ご確認ください。

*金額は税込み金額となりますので、税抜きで4,000万未満であっても税込みで4,000万以上となる場合には特定建設業の取得が必要となります。(建築工事業は6,000万以上)

*元請負業者が提供する資材の価格は上記金額に含みません。(税込み3,500万の下請け代金+元請け業者提供資材600万であっても3,500万で判断するという事になります。)

建設業許可が必要な場合

建設業について理解していきましょう。

建設業法の目的

建設業法においては、第一条に下記のように目的が規定されています。

(目的)
第一条 この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによつて、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もつて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。

上記のように、
建設業者の”資質の向上”
建設工事の”契約の適正化”、”適正施行の確保”
”発注者の保護”
建設業の”健全な発達促進”、”公共の福祉の増進寄与”
が目的とされています。

建設業法の定義

定義としては、

(定義)
第二条 この法律において「建設工事」とは、土木建築に関する工事で別表第一の上欄に掲げるものをいう。
 この法律において「建設業」とは、元請、下請その他いかなる名義をもつてするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業をいう。
 この法律において「建設業者」とは、第三条第一項の許可を受けて建設業を営む者をいう。
 この法律において「下請契約」とは、建設工事を他の者から請け負つた建設業を営む者と他の建設業を営む者との間で当該建設工事の全部又は一部について締結される請負契約をいう。
 この法律において「発注者」とは、建設工事(他の者から請け負つたものを除く。)の注文者をいい、「元請負人」とは、下請契約における注文者で建設業者であるものをいい、「下請負人」とは、下請契約における請負人をいう。

と規定されています。

「建設工事」とは(別表第一)

上記第二条の別表第一には下記のように29種類の建設工事が掲載されています。

参考)千葉県ホームページ建設工事区分に関する資料 に例示がされております。

建設業許可が必要な場合

建設業の定義としては上記のようになり、建設工事の完成を請け負う場合には、金額とわず建設業となります。個人事業としても、例えば内装工事をやるような場合でも建設業を営んでいるという事になります。

それらの人や事業者は、すべて建設業の許可が必要となるのでしょうか?
いいえ、建設業許可を取得しなくても下記のような場合には問題ありません。

(1)建築一式工事の場合で
   ・1件の請負代金が1,500万円未満の工事(税込み)
   ・延べ面積150平方メートル未満の木造住宅工事
  これらのいずれかの場合

(2)「建築一式工事」以外の建設工事
   ・1件の請負代金が500万円未満の工事(税込み)

つまり、上記以外の場合には、建設業許可を取得する必要があります。

例)建設業許可が必要な場合、
 ・建築一式工事で、1件の請負代金が1,500万円以上の工事(税込み)
 ・請負代金に関わらず延べ面積150平方メートル以上の木造住宅工事
 ・管工事で1件の請負代金が500万円以上の工事(税込み)
 ・ガラス工事で1件の請負代金が500万円以上の工事(税込み)
 ・電気通信工事で1件の請負代金が500万円以上の工事(税込み)
 ・解体工事で1件の請負代金が500万円以上の工事(税込み)
 ・左官工事で1件の請負代金が500万円以上の工事(税込み)


 

まとめ

いかがでしたでしょうか?建設業法の目的、定義を確認して建設工事とはどのようなものか?や

建設業許可を取得する場合についての概要をご理解いただけたのではないでしょうか?

少しずつ建設業関係の記事を書いていけたらと思います。