「建設業に係わる経営業務の管理を適正に行うに足る能力を有すること」
建設業許可の要件の一つ目です。
簡単に言うと、
1「常勤役員等(経営業務の管理責任者等)」又は「常勤役員等+補佐人」がいること
2 健康保険、厚生年金、雇用保険に適切に加入していること
が必要になります。
「常勤役員等(経営業務の管理責任者等)」又は「常勤役員等+補佐人」がいること
常勤役員等とは
まず、常勤役員等とはなんでしょうか?
法人の場合:役員のうち常勤のもの
合同会社の業務執行社員、合資会社若しくは合名会社の無限責任社員、株式会社の取締役、委員会設置会社の執行役又は法人格のある各種の組合等の理事、これらに準ずる者等をいう。(監査役、会計参与、監事及び事務局長等は含まれない。)取締役会設置会社において取締役会から具体的な権限委譲を受けた執行役員等も含まれます。
個人事業の場合:本人又はその支配人
なお、役員等とは、
業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる者又は相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者をいう。(建設業法第5条)
と規定されております。
*「その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、
執行役若しくはこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有する者と認められる者」である可能性
がある者の例として、「総株主の議決権の 100 分の 5 以上を有する株主」及び「出資の総額の 100分の 5 以上に相当する出資をしている者」(個人である者に限る)があげられますが、これら以外であっても法人に対して実質的に支配力を有している者は含まれます。
(引用:千葉県建設業許可手引き)
補佐人とは
常勤役員等を直接に補佐する者
常勤役員等、補佐人に求められる要件
建設業許可に必要な要件として、
「常勤役員等(経営業務の管理責任者等)」又は「常勤役員等+補佐人」がいること
について、これまで常勤役員等や補佐人について記載してきました。それでは具体的にこれらの人に求められている要件を見てみましょう。
常勤役員等になれる者
営業取引上対外的に責任を有する地位において、経営業務について総合的に管理した経験(経管としての経験)を一定期間以上有する者
補佐人になれる者
補佐人となれる者は、補佐人になろうとする建設業を営む者における「財務管理」「労務管理」「業務運営」の業務経験を一定期間以上有する者
①常勤役員等(経営業務の管理責任者等)の要件
イ 常勤役員等(※)のうち1人が次のいずれかに該当する者であること
(1)建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
(2)建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者
(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)
(3)建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の
管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者
経営業務の管理責任者とは
業務を執行する社員、取締役、執行役若しくは法人格のある各種の組合等の理事等、個人の事業主又は支配人その他支店長、営業所長等営業取引上対外的に責任を有する地位にあって、経営業務の執行等建設業の経営業務について総合的に管理した経験をいう。
②常勤役員等+補佐人の要件
ロ 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であつて、かつ、財務管理の業務経験(許可を受けている建設業者にあつては当該建設業者、許可を受けようとする建設業を営む者にあつては当該建設業を営む者における五年以上の建設業の業務経験に限る。以下このロにおいて同じ。)を有する者、労務管理の業務経験を有する者及び業務運営の業務経験を有する者を当該常勤役員等を直接に補佐する者としてそれぞれ置くものであること。
(1) 建設業に関し、二年以上役員等としての経験を有し、かつ、五年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有する者
(2) 五年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、二年以上役員等としての経験を有する者
注意点
〇他社の代表取締役等は、「常勤役員等」にはなることができません。(常勤と認められない可能性があるため)
〇「常勤役員等」は建設業の他社の技術者にはなることができません。
〇国会議員及び地方公共団体の議員は、「常勤役員等」にはなることができません。
〇執行役員は「法人の役員」にはあたらないものの、「常勤役員等に準ずる地位」ではあり
得ます。
健康保険、厚生年金、雇用保険に適切に加入していること
これらに加入している事も要件の一つとなりますので、確認しておきましょう。
条文で見てみましょう
建設業法(許可の基準)
第七条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。
一 建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であること。
建設業法施行規則(法第七条第一号の基準)
第七条 法第七条第一号の国土交通省令で定める基準は、次のとおりとする。
一 次のいずれかに該当するものであること。
イ 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であること。
(1) 建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
(2) 建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者
(3) 建設業に関し六年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者
ロ 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であつて、かつ、財務管理の業務経験(許可を受けている建設業者にあつては当該建設業者、許可を受けようとする建設業を営む者にあつては当該建設業を営む者における五年以上の建設業の業務経験に限る。以下このロにおいて同じ。)を有する者、労務管理の業務経験を有する者及び業務運営の業務経験を有する者を当該常勤役員等を直接に補佐する者としてそれぞれ置くものであること。
(1) 建設業に関し、二年以上役員等としての経験を有し、かつ、五年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有する者
(2) 五年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、二年以上役員等としての経験を有する者
ハ 国土交通大臣がイ又はロに掲げるものと同等以上の経営体制を有すると認定したもの。
二 次のいずれにも該当する者であること。
イ 健康保険法(大正十一年法律第七十号)第三条第三項に規定する適用事業所に該当する全ての営業所に関し、健康保険法施行規則(大正十五年内務省令第三十六号)第十九条第一項の規定による届書を提出した者であること。
ロ 厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第六条第一項に規定する適用事業所に該当する全ての営業所に関し、厚生年金保険法施行規則(昭和二十九年厚生省令第三十七号)第十三条第一項の規定による届書を提出した者であること。
ハ 雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第五条第一項に規定する適用事業の事業所に該当する全ての営業所に関し、雇用保険法施行規則(昭和五十年労働省令第三号)第百四十一条第一項の規定による届書を提出した者であること。